沖縄アドラー心理学勉強会に参加してくださっている方から、とても素敵な家族会議の実践報告を聞きました。
今回は、ご本人にご了承いただいたうえで、その素敵な実践をご紹介します。
小学1年生のお子さんがいるご家庭です。
夏休みに入る前、
「夏休みの宿題をどうするか」
について、家族会議を開いたそうです。
その結果、この夏休み、お父さんとお母さんは宿題について一切口を出すことなく、お子さんは自分から宿題を続けたそうです。
朝起きたら、まず宿題をする。
そう自分で決めて、毎朝、自分から取り組む。
ときには、お父さんやお母さんが起きてくる前に、すでに宿題を終えていることもあったそうです。
でも、この話を聞いて私が一番心に残ったのは、
「子どもが自分から宿題をした」
ということではありませんでした。
小学1年生の子どもも、一人のメンバーとして参加する
この家族会議には、
お父さん。
お母さん。
そして、小学1年生のお子さん。
3人が参加しました。
親が、
「夏休みは毎朝、宿題をしなさい」
と決めて伝えたわけではありません。
3人それぞれが、自分の意見を出しました。
お子さんは家族会議そのものを、とても楽しんでいたそうです。
特に楽しかったのが、
挙手して、自分の意見を話すこと。
小学1年生でも、お父さんやお母さんと同じように手を挙げ、自分の考えを話す。
そして、その意見を家族に聞いてもらう。
そこには、
「親が決める人、子どもは従う人」
という関係ではなく、
家族の一人として、自分の意見を聞いてもらえる時間
があったのだと思います。
「どうしたら、みんながOKだろう?」
もちろん、家族会議は、
「子どもの好きなようにさせる場」
でもありません。
お父さんには、お父さんの考えがあります。
お母さんには、お母さんの考えがあります。
そして、子どもにも子どもの考えがあります。
誰か一人の意見を通すのではなく、それぞれが意見を出し合う。
そして、
「私もOK。あなたもOK。」
と思える方法を一緒に探していきます。
このご家庭でも、3人で話し合い、
夏休みの宿題をどうするのかを決めました。
お子さんが決めたのは、
「朝起きたら、すぐに宿題をする」
という方法でした。
その夏、親は宿題について一度も言わなかった
そして夏休みが始まりました。
お子さんは、自分で決めたとおり、朝起きると宿題に取り組みました。
親から、
「宿題したの?」
「早くやりなさい」
「まだ終わってないの?」
と言われることもありません。
お父さんやお母さんは、宿題について一切触れなかったそうです。
それでも、お子さんは自分から取り組みました。
親が起きる前に、宿題を済ませている日さえありました。
素敵だなと思いました。
でも、ここで、
「家族会議をすれば、子どもが自分から宿題をするようになります」
という話にしてしまうと、大切なものが抜け落ちてしまうように思います。
家族会議は、子どもを動かすための方法ではない
もし、
「子どもに自分から宿題をさせたい」
という目的で家族会議を使うなら、
結局は、
「どうしたら子どもを親の望む方向へ動かせるか」
という話になってしまいます。
私は、家族会議はそういうものではないと思っています。
今回のご家庭でも大切だったのは、
「子どもに宿題をさせること」
よりも、
子どもも一人の人として話し合いに参加し、その意見を尊重すること
だったのではないでしょうか。
自分の意見を言える。
お父さんとお母さんが、それを聞いてくれる。
親の意見も聞く。
そして、みんなで考えて決める。
その結果として、
「これは自分で決めたこと」
という感覚が生まれたのかもしれません。
家族が「競争する場所」ではなく「協力する場所」になる
この実践をしてくださっている方が、大切にしていることがあります。
家族の中に、
お互いが競い合ったり、どちらが正しいかを争ったりする雰囲気があるのか。
それとも、
困ったことがあったときに、みんなで話し合い、協力して解決していく雰囲気があるのか。
そうした日々の家族の雰囲気が、子どもがこれから、
「自分はどう生きていくのか」
「人とどう関わっていくのか」
をつくっていくことにも大きく関わっているのではないか。
そんなことを考えて、家族会議を実践されているそうです。
私は、この話を聞いて、
「宿題を自分からやった」
という目に見える結果以上に、こちらの方が大切なのではないかと思いました。
「僕のこと尊重してくれてありがとう」
そして、この実践報告の中で、私が一番心に残った言葉があります。
お子さんが、お父さんとお母さんに言ったそうです。
「僕のこと尊重してくれてありがとう」
小学1年生の子どもから出てきた言葉です。
自分の意見を聞いてもらったこと。
自分も家族の話し合いの一員だったこと。
そして、自分で決めたことを、お父さんとお母さんが任せてくれたこと。
その一つひとつを、この子なりに感じ取っていたのかもしれません。
「宿題をちゃんとやってくれてありがとう」
ではなく、
子どもの方から、
「僕のこと尊重してくれてありがとう」
と言った。
この話を聞いたとき、家族会議で本当に育てたいものが、この一言の中に表れているように感じました。
家族会議で育てたいのは、「話し合い、協力する力」
子どもたちは、これから成長していく中で、いろいろな問題に出会います。
そのとき、
誰かから指示されるのを待つのではなく、自分で考える。
自分の意見を伝える。
相手の意見も聞く。
困ったときには助けを求める。
そして、意見が違っても、
「じゃあ、どうしたらみんながOKだろう?」
と話し合い、協力していく。
家族会議は、そんな経験を家庭の中で積み重ねていく時間にもなるのだと思います。
今回の実践報告を聞きながら、
家族会議というのは、
「宿題をどうするかを決める会議」
ではなく、
家族がどういう関係で一緒に生きていくのかを、日々練習していく場所
なのかもしれないと、改めて感じました。
そして何より、
「僕のこと尊重してくれてありがとう」
この一言を聞ける家族会議って、やっぱりいいなぁと思います。

